昨日東京大学においてErik HOLLNAGEL教授の『レジリエンス・エンジニアリング』の講義を聞きいてる最中にふと,『数学的直観主義・構成主義』が頭をよぎりました
Erik氏によると従来の安全性解析の考え方は『Safty-I』と呼ばれ,つまり『事故が起き無い==安全が保たれる』という考え方が根底にあると強調しています。
大げさに言えば,過去の事故である有限の事象を解析し(安全な事象は直接には注目しない),まだ発生していない無限の事象の安全性を担保したいという考えです。
一方、『レジリエンス・エンジニアリング』は『Safty-Ⅱ』のアプローチであり,安全が保たれている大多数の事象に直接注目し,安全とは何か?どういうことであるのか?と安全な事象を直接解析するアプローチです(事故の解析も行う)。
従来の品質保証活動や信頼性・安全性解析技の殆んどは,『Safty-I』のアプローチに該当します。
ここで『数学的直観主義』あるいは『数学的構成主義』ですが,無限集合を考える時に背理法の規則を用いて非存在が成立しないことを利用した推論技法により,存在を示すこを禁じています。
別の言い方をすると,排中律に対して厳しい態度をとる主義です。
確かに無限を扱う時に,その直接の対象を扱わず非存在を証明することで,存在を成立させることは違和感があります(素数の存在証明など)。
素数の存在自体を直接証明していなので,素数の存在を構成的に説明することができていません。
素数の存在証明には,それ自体「素数がどの様に存在しているのか」という直接の問いが含まれている感じがします。
しかし,背理法はこの点に何も答えてくれません。これで素数の存在証明になるのかということは誰でも思います。
『Safty-I』のアプローチが過去の事故である有限の事象からまだ行い無限の事象の安全性を担保するというには,「¬事故=安全」で背理法的な印象を与えます。
『レジリエンス・エンジニアリング』の『Safty-Ⅱ』のアプローチが『数学的直観主義』あるいは『数学的構成主義』と何となぁ~く類似点を感じました。
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