書籍「文芸的プログラミング」~実は数学的プログラミング
今となっては古い書籍であるが、有名なクヌースの「文芸的プログラミング」を最近見返している。
近年は数学的なアプローチによるプログラミングが私の業務テーマであるから、折に触れて昔の書籍でも数学的な内容の書籍は手にすることが多い。
この「文芸的プログラミング」の翻訳はアスキー出版社から1994年に出版されている。
1994年頃と言えば、バブルがはじけた日本であるが、世界的にはWindows95の登場を控え、Java言語やwwwのインターネットなどコンピューター産業は話題に事欠かなかった時代である。
この当時、アスキー出版社やトッパン印刷など非常に優れた技術専門書を出版しており、エンジニアが勉強する上で非常に恵まれた時代だったかもしれない。
近年の極めて表面的な入門書ばかりの日本の出版事情とは大きく異なる。
そのため、書籍「文芸的プログラミング」は、今のデフレ時代には決して翻訳書として出版されないのではないかと思うくらい個性的な書籍である。
内容はビッシリコードと数学的な形式化による記述で埋め尽くされている。
翻訳書であるが、460ページ近くあるうちの半分はコードと形式的な記述なので、一見洋書と見間違うような感じすらある。
形式的な記述で埋め尽くされているが、プログラミングは科学でありアートであるという主張がこの本の趣旨である。
プログラミングの数学的なアプローチが仮に完全に確立したとしても、そのようなスキルを身に付けたプログラマーに依存する以上、プログラムの品質や生産性そして美的な部分は完全に属人的になってしまう。
扱う内が高度で、プログラムコードが多い為に、内容理解しながら&味わいながら読みとなると、プログラムを専門とする研究者でも簡単に読み飛ばせる内容ではない。
ただし、大学の教科書の様な理論とアルゴリズム集の解説とは完全に異なる。
挑戦的なプログラムパズルをクヌースがどのように考え、プログラムしているかをアイディアを示しながらコードを解説していたり、大学での講義の紙上版のような章もある。
巨星クヌースの考え方や書いたコードに興味がある読者は手にしてみると良いと思う。
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