COBOLによるオブジェクト指向開発
昨年の年末に集中的に相当の文献や書籍を入手した。
多くは英語の形式記述、型理論あるいは言語設計の文献や書籍が多いが、古い書籍も数点ある。
その1つがこの書籍「Object-Oriented Development in COBOL」である。
「今ごろCOBOL?」と聞こえてきそうであるが、そう、いまどきCOBOLの書籍なのである。
COBOLは近代的言語が持つ機能をほとんど持たず、物理的な情報(属性や実装詳細)などが完全に露出していることで、言語比較の論文では大抵「悪役」の立場にある。
古い言語であから仕方ないのであるが、その一方でビジネスの世界の処理を記述する上で、この上なく便利であるという事で、古い言語の中で現在でも最も使われている言語の1つである。
メインフレームからダウンサイジング(最近使わない用語だ)の時に、合わせてJavaや他の言語に移行することも多いが、まだまだCOBOLによるコード記述も行われている。
ご存じのようにかなり以前から、COBOLにもオブジェクト指向の機能が盛り込まれた。
ただし、既存のCOBOLとの互換性もあるので、別言語というスタンスではない。
つまりCとC++のような関係ではなく、COBOLに新機能(カプセル化、継承機能など)が追加されている。
それでも本当にささやかな機能拡張である。
だが、ビジネス的な視点から見るとそこが逆に良い点もある。
何もかも最新機能を盛り込むことがビジネスニーズとしてある訳けではないからだ。
逆に言うと、従来のCOBOLコードを作成していた人間はスムーズにオブジェクト指向アプローチを活用できる。
そして、既存のCOBOLコードと共にオブジェクト指向のコードスタイルのCOBOLを合わせて使う事が可能である(効果的なコードにするには、ちょっとした工夫がいる)。
単にCOBOLの実装についてのみでなく、オブジェクト指向分析や設計アプローチが書かれている。
古い本なので、シュレイヤー&メラー法、コードヨードン法、ブーチ法などだが懐かしい。
ANSIの97バージョンのCOBOLのようだ。
OOアプローチのCOBOLコード。
ただし、古いバージョンのCOBOLでも、オブジェクト指向(風)アプローチを記述する方法がある。
過去に多くの資料で紹介されていたので、保守性や拡張性を少しでも良くしたい開発者は資料を見つけて読んでみると良い。
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