プロ技術者のソフトウエア開発アプローチの本~「Adaによるソフトウエア開発」
学生時代や新人時代に学んだソフトウエアの内容は主として効果的なアルゴリズムや細かな設計技法が多かった。
しかし、企業のエンジニアとして働くには、学校で学んだ内容でははなはだ不十分であった。
1989年頃、防衛産業のエンジニアとして大規模なリアルタイムシステムをオブジェクト指向で開発する際に、参考にした書籍が「Adaによるソフトウエア開発」である(監訳は筧捷彦先生で、形式手法などを中心に有名な方である)。
学生時代に学ぶソフトウエア工学とは異なり、ビジネス世界では要件開発からテストまで大規模開発ならではの開発アプローチが存在する。
学校で学習する内容とは全く異なるスキルが要求される。
書籍「Adaによるソフトウエア開発」では、今の開発方法に近い設計アプローチが解説されている。
Ada言語は先進的な機能を保有しているが、Eiffel言語同様、ソフトウエア工学の知識が充分でないとAda言語を活かせない。
当時鳴りモノ入りで登場したAdaであったが、Ada言語の文法そのものよりもAda言語の思想を満たす分析・設計技法の理解が重要であった。
たとえば、仕様と実装の分離、クラスやオブジェクトの切り出しとAdaパッケージとの対応、マルチスレッド・プロセス設計とAdaのタスクとランデブー通信へのマッピングおよびデッドラインを満たすためのリアルタイム設計などなど。
「Adaによるソフトウエア開発」を読み返すと当時の状況が思い起こされ懐かしい。
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