科学的ソフトウエア開発のススメ~数学的・論理学的な動的モデルの設計方法
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ソフトウエア開発でさかんに品質や再利用性が語られているが、21世紀はより数学的に問題を考えて行かないと困難な時代である。
ところが、今現在もUMLによる作画中心の経験則的な開発がおこなわれており、セミナーなどもほとんど従来のオブジェクト指向開発のやり方から変化が無いように感じる。
CPUはマルチコア時代になっているのだし、従来の開発手法は非常に非効率になっている。
特に動的な側面は、古典的だがホアのCSPやオートマトンの原理、FSMの形式的アプローチなどの基礎の重要性を今一度再認識するのがいいだろう。
日本の場合、プロセス代数があまり理解されておらず非常に軽視されている。
プロセス代数は、動的な処理や並列性を厳密に検討できるだけでなく、支援ツールによる色々多くの自動化の恩恵を受けれる。
この自動化は昔の(あまり役に立たなかった)CASEツールによる支援とは大きく異なり、人間が行うと非常に困難なことも自動で行える非常に優れたものである。
ただし、これらの恩恵を受けるには開発者にも初期投資が必要だ。
述語論理学や様相理論、時相理論の学習やプロセス代数の学習が必要となる。
プロセス代数を理解するには、まず基礎的な命題論理や述語論理の知識が必要だが、これまた日本の開発現場のエンジニアにはありまり理解されていない。
日本では今でも再利用性や保守性についてのアプローチは人海戦術が基本のようだ。
ほとんどが人間が懸命に行わなければならない作法と作業プロセスの定義とそれらの遵守に意識が行く。
このアプローチは作業と時間ばかり掛り、現在のビジネス環境では、ほとんど効果は出せない。
ソフトウエアを取り巻くビジネス環境はそれほど甘くないからである。
これからは、動的な視点であるプロセス代数の意識とそれらを基礎に置くツールの活用が重要である。
しかしながら、オブジェクトの状態などの分析や設計も状態図や状態表を用いて経験則的に行うセミナーなどがほとんどで、LTSA、FDR、JCSPなどによるプロセス代数を用いた分析・設計アプローチは、ごく一部を省いて指導されていない状況だ。
このような科学的なアプローチは、日本ではあまり知られていないようだ。
これでは、再利用や堅牢なアーキテクチャを実現する設計はあまり期待できない。
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ETロボコンの南関東大会のスペシャルセミナーの時の講演資料公開のURLは下記になる。
ETロボコンとセミナーの参加者には実行委員会の方らかIDとパスワードがメールで連絡されているのでIDとパスワードを入力のこと。
なお、資料がダウンロードできるのは6月30日までの期間限定となる。
◆資料公開ページ
http://minamikanto.etrobo.jp/2010/modules/pico/index.php?content_id=12
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6月も下旬に差し掛かろうとしているのでもう直ぐ今年も半分が終わることになる。
夏以降は新しい方法論・手法と開発環境を活用した大きな案件が2つあるために、そちらに集中しなけれならないだろう。
どちらも国際的な案件なので長期化するかも知れない。
夏の時期が仕事で全て埋まってしまわないような、スケジュール調整に入る予定。
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2010年になってから、海外から統合開発環境が続々日本に上陸している。
多くの場合最上流の作業から検証作業まで1つの開発環境で行えるというものだ。
企業が業務で使うツールとしては今後はこのような統合開発環境に大きく方向付けされていくだろう。
eclipseなどをベースに色々な機能をアドオンして統合化しているツールが多いが、オープンアーキテクチャ故に機能の充実と発展が早い。
検証環境、UMLモデリング開発環境、要件定義管理などの個々の機能毎の開発環境も残っていくだろうが、大企業はおそらく統合開発環境に大きくシフトしていくはず。
事実、かなりのスピードで採用を決定してきている。
しかし、いづれも大企業。
日本の景気後退による企業格差で、統合開発環境を購入・活用できる企業とできない企業の2極化が表面化するだろう。
一方で、従来の機能別の開発環境や検証環境などは低価格化とフリー化の波にのまれそうである。
学生や個人毎の使用ニーズは確実にあるのだが、なかなか難しいビジネスなると思う。
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5月29日に横浜でETロボコン南関東大会スペシャルセミナーの講演とパネルディスカッションを実施した。
その時の講演資料がインターネットでダウンロードできるようにしたと、ETロボコンの実行委員会の方から連絡があった。
私の講演資料はETロボコンの実行委員会の方に渡しているので、以降資料の方は全て実行委員会の方の管理下に入る。
資料はPDF化されダウンロード可能となるが、IDとパスワードが必要となる。
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今日は午前中がコンサルテーションの仕事で、午後からSEC特別セミナー「リアルタイム組込みシステム高信頼設計のためのモデルベース技術の最新動向」を受講した。
ヨーロッパの組込み・リアルタイム系のモデル開発のプロファイルの「Marte」についてである。
基本的な記述の考え方は正直驚くような非常に新しいものは無いように感じた。
考え方の基本やノーテーションのアイディアは、結構以前から似たものが登場しているからである。
だたし、より精微化され、最近になって具体的なターゲット環境への動作を考慮して、実際に実例がチラホラ出てきていることだ。
今後このMarteを含むUMLによるモデリングの最大のメリットは、今までモデル・プロファイルは所詮ノーテーションの拡張に過ぎなかったものが、Martにより記述できるオープンソースの開発環境が提供されることだ。
Eclipseで動作するMDA環境が公開されることだ。
この環境ではMarte記述したモデルが実際にコードへと変換される。
これによりプロファイルで提供される各種ステレオタイプや制約を実際に、コードに変換できる本格的なモデル駆動開発に突入していくことになる。
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