新『メタボリック・シンドローム』で行こう!!~共生と新陳代謝が不可欠な時代
メタボリック・シンドロームというと医学用語で、内臓脂肪症候群という意味の肥満を意味し不健康な意味がある。
実は前々からこの用語の使い方が大変気にになっていた。
なぜなら、もともとの「metabolic」は「新陳代謝の、物性交代の」と言う意味で、本来悪い意味はないからである。
どちらかというと前向きなイメージがある。
巷で使用される「メタボリック・シンドローム」は、あくまで医学用語で一般的ではない。
メタボリック・シンドロームと言う用語が一般に知られる前に、以前「メタボリズム」用語と思想が大変注目された。
高度成長期の時期である。
黒川紀章氏を中心とするグループが高度成長期に打ち出した思想である。
この「メタボリズム」であるが、一時期はあくまで前衛的な思想と試みであり、成功に至らなかったと言われているが今は再評価され始めている。
高度成長期、創造と破壊を繰り返し巨大都市化する世界に対して、今で言うエコの発想になっている。
今の用語である「サステイナブル(継続可能な)」とか「リサイクル」は、「メタボリズム」と「共生」の流れの1つである。
「メタボリズム」があり、競合しながらも互いを必要とする「共生」のコンセプトを建築や都市開発に展開していく思想につながっている。
「メタボリズム」が単なる思想でない理由として、実際に幾つかの建築物が存在している。
「メタボリズム」の代表的作品は、中銀カプセルタワービルである。
また、現在のカプセルホテルも「メタボリズム」からと言われている。
「メタボリズム」はビルはそのままに、カプセル状のユニットを交換する仕組みで環境に適応しようという考えだ。
中銀カプセルタワービルもそのように設計されている(外観を見れば一目了然のカプセル的な突起した部屋が目につく)。
中銀カプセルタワービルは、「メタボリズム」の代表作であるながら、「メタボリズム」が未完成であったシンボルとして扱われる。
当時としては斬新過ぎる設計で、近未来指向過ぎる設計となっている。
実験的な試みもあり、そういう意味からは住むうえでは完璧な建物とは言い難いとの評価が多い。
一方で、熱狂的な支持者もいる。
私は個人的に中銀カプセルタワービルは成功だと判断したい。
確かにメタボリスム建築の最終目的であるカプセルの入れ替えはなし得なかったが、博覧会などの一時的な建築物でなく、実際に街中に建設され長い期間人が生活していること、現場でコンクリートをうつのでは無くプレハブ工法的な鉄筋コンクリート造であること、多くの建築家に影響を与えたことである。
中銀カプセルタワービルは、140戸ものカプセルが2本の支柱に取り付けられているが、プライベートへの配慮やなどもされている。
冷静に考えれば法規制を受けず、耐震構造も備え、実際に店子がいるなどは驚くべきことだ。
部屋の中を撮影した写真を見たことがあるが、まるで宇宙船の船内のようだ。
住み心地は別にして相当デザインは先端だったと感じる。
黒川紀章は建築家でありながらあらゆる分野に影響を与えた。
建築家というよりも思想家的であるとも言われる。
単に前衛的な思想で終わることなく、実際に建築物を作成しているから凄いエネルギーだ。
一貫したコンセプトとそれを支える高度な知識の裏打ちがある。
丹下健三、安藤忠雄など日本が誇る世界的に有名な建築家は多い中で、「メタボリズム」や「共生」などコンセプトを発信し続け、思想から世界的に大きな影響を与えつづけたのは黒川紀章だけだ。
新陳代謝と共生はまさに、閉塞感漂う現代に一番必要なものである。
これからは、新陳代謝と共生をスローガンに新『メタボリック・シンドローム』でありたい。
=HSCI Takanari Hashimoto(URL:http://hsc-i.com/)=
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