« 2009年10月 | トップページ | 2009年12月 »

2009年11月

2009年11月29日 (日)

バードランド・メイヤーのオブジェクト指向開発の正しい理解法

Eiffle言語の設計者として有名なバードランド・メイヤーの書籍「オブジェクト指向入門第2版」が、比較的最近上・下分冊で翻訳された。

翻訳では上下合わせて1800ページ近くある(原書は1300ページ位)。

Eiffle言語を用いてオブジェクト指向設計と実装に焦点をあてて書かれている書籍である。
#第2版では開発全般について触れられているが、基本的にバードランド・メイヤー主張は、詳細設計と実装に重きが置かれている。

内容を読んで感じたのはやはりこの方は言語設計者であるということである。

バードランド・メイヤーの主張では、上流の作業やオブジェクトの抽出についても言語からの視点が強すぎる傾向があり、概念モデリングレベルからクラスを型として意識しすぎる。

ユースケースからのクラス抽出に否定的であるが、その理由がやや検討は外れというか、あまりユースケースドリブンの開発に自ら経験が無いのだろう。

概念モデルや分析モデルには、実装のための情報だけでなく、色々な目的がある。

よってこの時点からクラスを型として意識する必要はあまりない。

書籍全般については深い洞察と豊富な記述がなされていることは認めるが、色々な技法や他の研究者の考え方を紹介しつつも、実のところ上流になればなるほど、あまり深い知識を有していない、あるいは実務上の経験がないことが見てとれてしまう。

また、自分の意見を強引に正当化する部分が散見される。

一方、実装レベルになればなるほど彼本来の強みと個性が出ている。

開閉原則や契約に基づく設計と表明は有名だが、バードランド・メイヤーの真の主張と狙いを理解するには、型理論や形式記述的な部分を理解しなければならない。
#蛇足だが、開閉原則はバードランド・メイヤーとマーチンの2つが知られており、継承をも用いている点は同じだが、内容は大きく異なっている(目的と求めている利点が少し違う)。

バードランド・メイヤーの考えをソフトウエア開発で実現するには、型理論にける厳格な型チェックが必要である。

開閉原則を満たすためには継承メカニズムをどのように活用するか極めて重要だが、バードランド・メイヤーの継承活用の考え方は、巷に氾濫するオブジェクト指向の書籍とその書籍達の中で解説されている継承の解説とは大きく趣を異にする。

極めて形式記述的で型理論をきっちり理解していないと本当の意味で理解したことにならない。

詳細設計(クラスの定義や関連など)について数学的な扱いをする。

より具体的な事を言えば、バードランド・メイヤーの書籍「プログラミング言語学の招待」やなどの書籍を併読する必要がある。

多相性を実現するには反射律と対称律は成立するが、推移律は満たさないという共有関係においてモデル化が可能である。

継承では区分原肢で分類された特化側のクラスは同値類(商集合)であるが、同値とは反射律、対称律、推移律を全て満たす。

同値類でないつまり同値分割でな場合は、UMLの制約で{overlap}と記すが、この場合推移率を満たさなくすればよい。

Image005 Image010 Image007 Image008 Image009 Image010_2

なお、日本では形式記述や型理論というと机上の学問的に感じられており開発現場では敬遠されているが、これは日本特有の取られ方の気がする。

EUでは多くの開発者が命題論理学や述語論理学がキチンと理解されているせいか、その後プロセス代数や各種形式記述、型理論にしっかりした知識を持てる力がある。

だからこそバードランド・メイヤー(フランス人)の形式的な特色が強い書籍も非常に多くのエンジニアに読まれているわけである。

日本のソフトウエア開発の弱点はあまりに経験則的かつアバウトな取り組みであることだろう。

HSCI Takanari Hashimoto(URL:http://hsc-i.com/)=

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「マキオの一人旅」~懐かしい児童文学

小学3年生ごろにどこの教室の図書コーナーに置かれていた本に「マキオの一人旅」があった。

最近古本で入手して読み直してみた。

Image003

内容的に時代を超えて読まれてよい書籍と思うが、どういう訳か現在ではほとんど流通していないようである。

母親から離れて親戚の家で過ごす5日間の小さな冒険を描いた作品だ。

昭和の児童文学を思わせる表紙と挿絵が懐かしい。

今のJRも国電という名称で文中に登場する。

改めて「マキオの一人旅」を読んだ感想は、大人でも十分に楽しめる作品だということである。

途中でストーリーの展開が分かってしまうこともない。幾つかの小さなストーリーが上手くメインストーリーに織り込まれている。

読み終えた後にさわやかな感動がある。

最近の児童文学はどういうものが読まれているか分からないが、結構カジュアルになりすぎているものが多いきがする。

私の時は幼稚園から小学一年生くらいは「グリム童話」「イソップ物語」「アンデルセン物語」などが黄金児童書として子供たちに読まれていのだが。

子供のころに読んだ作品が失われていくのは残念な気する。

HSCI Takanari Hashimoto(URL:http://hsc-i.com/)=

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月27日 (金)

21世紀に勝ち組になる~やるべき事と真逆に走る企業と人は危険

デフレが加速し、ここにきて過激な円高が進んでいる。

不況が収まる気配は感じられない状況だ。

デフレの中で企業は存続をかけて海外に工場建設や安い労働者を求めて出ていく。

ユニクロやニトリは企業努力もしているが、やはり低価格が競争の源泉であり、エポックメイキングな価値が競争の源泉になっているとは言えない。

今の日本企業は低価格戦略に編重しすぎており、企業経営が好調なのは安い商品を扱うユニクロやニトリや王将などの企業だ。

1000円を切るジーンズは一貫して海外で製作するために、日本国内企業への発注的経済効果はゼロだという。

いまのような企業戦略が続くと日本国内の産業は全て海外に出て行かざる負えない。

中小企業には大企業からの発注はなくなるだろうからほとんど倒産する。
#事実その傾向が顕著になってきた。

企業に海外に出て行くなとは言えない。それを言えば、「座して倒産すべし」というのと同じだ。

それよりも中小企業の下請け体質に大きな問題がある。

高度成長期のピラミッド構造を強引にここまで引きずってきたが、もうこれからは中小企業は下請け的業務から脱却しなければいけない。

つまり、中国やインドおよびタイでもできる仕事を、高い人件費と少ない人口の日本人や日本企業がしても意味がないということだ。

安い海外に仕事を発注されるのが嫌なら、中国やインドおよびタイなどでできない仕事をするしかないわけだ。

個人のライフプランについても同じことが言える。

中国やインドおよびタイ人など新興国の人間ができることを、日本人がスキルを身につけても仕方がない。

多くの人を見ていると直近のことしか見ないためか、この点がを無視した資格取得や努力が目につく。

もっと別の競争の源泉となるスキルを見つけていなかればじり貧になる。

円高を嫌い円安を歓迎する傾向も基本的には異常だ。

あまりに日本の製造業が「薄利多売傾向」にな成りすぎている傾向にある。

為替はヘッジファンドや市場操作などの意図的なものがあるので単純ではないが、自国の通貨が外貨に対して安くなくては困るという発想は、高度成長期のモデルをいまだに求めているからである。

いい例がゼネコンである。

高度成長期の建設ラッシュの隆盛が忘れられず、いまだにいらない箱物を作って稼ぐビジネスモデルである。

デジタルTVの価格下落が止まらないというが、情報家電は昔のようなアナログ製品と異なり技術が無くても部品さえあれば新興国でも容易に生産ができる特徴がある。

つまり情報化時代の製品は「模倣が簡単」だということである。

腕時計を見れば分かりやすいだろう。

アナログ時代の腕時計は、職人芸が要求され製作も時間がかかり高価なものであった。

しかし、デジタル時計は大量生産が可能で極めて安くできる。

どこの国でも早く、大量に、安く生産できる。

デジタル化は、早く、大量に、安く生産するための技術であるから、価格の急激な下落は当然の帰結である。

(カシオのGショックは、デジタル時計に新しい付加価値とオリジナルな技術によるエポックメイキングをもった成功例である。)

自動車も電気自動車時代を迎えるので、価格が急激に下落する傾向が強くなって行く。

これまでのような日本企業の家電王国は、20世紀型の戦略では難しいのだ。

やるべき事と真逆に走る企業と人は非常に危険である。

=HSCI Takanari Hashimoto(URL:http://hsc-i.com/)=

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月19日 (木)

ボジョレニューボ解禁日におもうことアレコレ~天才ガロア

寒い一日の今日は、ボジョレニューボ解禁日である。

夕方のTVのニュースを見たら、ボジョレニューボが西友で700円で売られているとデフレを象徴する安売りの模様を伝えていた。

もともと安価なボジョレニューボとは言え、700円台とはさすがに安い。

それにしても「今年のボジョレニューボは、最高の出来」みたいな事を毎年言っているなぁ。胡散くさいな。

日本人は季節の初物が好きだから、ボジョレニューボにも飛びつくけど、以外とボジョレニューボがどういうものかは深く考えてないのかもしれない。

大切なものは表面的なものではなく、その背後にある真理なんだけどなぁ。

フランスと言えば思いつくものは沢山あるけど大天才ガロアが思いつく。

フランスは天才数学者や優秀な数学者を数多く輩出してるが、個人的にガロアの天才としての非凡さは凄いと思う。

20歳一寸で死んでしまったことが本当に残念。

優秀すぎて2度大学受験に失敗。

落ちた理由は、伝えられていると話では試験官が対数に関する愚問をしつこくガロアに繰り返し問い、ガロアがバカバカしくて回答しなかったとか。。。

伝記によるとガロアが数学に接したのは15歳くらいからとあるから、20歳で死ぬまでの業績を考えると物凄い才能だ。

というのも死ぬまでの間に投獄されたり、まともに数学に取り組めた時間はあまりなかったはず。

もっともガロアの「群」の概念は、当時の最高の数学者も理解できずに評価されていない。

おまけに可哀そうな死にかたをしている。

ガロアを知ったのは高校の教科書で、確か複素数を習う時だ。

教科書に載っていたガロアの肖像画のっていた。

ガロアというと決まってこの絵。複素数なんて考えつくこと自体相当非凡奴だとは当時から思っていた。

Galois Galois

でもガロアというと群の価値を見出したことで数学者の間では有名で、その対称性(ここでの対称性とは回転、平行移動、色々なものがある)が宇宙の話題にまで及ぶ。

分野を限定せず、また、時代背景を考慮しないで、天才達を比較するのはナンセンスだが、天才の中の天才としてガロアを評価しても怒られないんじゃないかな。

群論は現代数学でも難しい分野だが、その応用面での価値は高く、数学者や物理学者を魅了してやまない。

群論は対称性の数学と言われるけどホントに難しい分野。

群がさらにいくつかの研究分野に分かれていて、多方面で利用されている。

宇宙や化学および物理で「対称性」の話題がでたらまず群論がかかわってくる。

それだけに、若くして死んだ稀代の大天才ガロアは、もっと多くの人が知ってもいいね。

ボジョレニューボよりガロア(Galois)を知ってほしいな。

=HSCI Takanari Hashimoto(URL:http://hsc-i.com/)=

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月 8日 (日)

蝋人形の館@東京タワーに行って来たの巻き

11月7日は用事もあったので大江戸線の赤羽橋で降りて、東京タワーにある蝋人形の館に行って来た。

Image004 Image020 Image011

小学生のころTVのコマーシャルでよく東京タワーにある蝋人形の館のコマーシャルが流れていた。

Image016 Image017

朝の情報番組として有名だった「おはよう720」の中でも、ビートルズの人形が展示されるということで蝋人形の館の取材が放映されていた。

いつか行っていみたいと思っていた。

それからウン十年経って、初めて蝋人形の館に行ってきた。

入館料は「大人500円」。

館内は写真はOKだから展示物の撮影や記念撮影などはOK!

ただ人形の写真をブログにUPすることは禁止されている。

結構の数の蝋人形が展示してある。

人間そっくりのものもあるが、イマイチ似ていないのもある。

人形自体は時々入れ換えているようだ(一緒に館内にいた見物人の会話から)。

そういえば、子供のころに見たコマーシャルではフランケンシュタインやドラキュラが出ていたが今回は無かった。

折角来たから、同じ東京タワーにある水族館にも行って来た。

こちらは入館料「大人1000円」。

Image018 Image019

小さな水族館ながらじっくり見るとなかなか楽しめる。

家族づれ以外にも、熱心に写真をとっている大学生風の人や海の生物が趣味のおじさんなど多様な人が見学していた。

ここの水族館が面白いのは、展示している魚などを販売していることだ。

蝋人形の館に行ったことで、子供の頃からの引っ掛かりが1つ解消された。

次はスイスのマイエンフェルトに行こうかな。

=HSCI Takanari Hashimoto(URL:http://hsc-i.com/)=

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月 6日 (金)

エンジニア的考察~デフレ危機

年末に向い多忙な日々を送っていてこのブログもチョットサボり気味。

さて、TVニュースや新聞ではデフレが止まらないことが相当危機的な状況を生み出していると報じている。

おそらくデフレはますます加速するだろう。そして行きつくところまで行くとおもう。

その時どうなるかは誰にも分からないが、少なくても当分デフレは止まらない。

今の日本の企業の戦略や日本国経済の破たんぶり(外国を見渡してこんなにデタラメでひどい国はない)と全く何も対策が取られない少子化。。。

デフレが回復する材料がない(そのため、恐ろしいことが昔は戦争を起こして不況を改善しようとした時代があった)。

今の日本でデフレが加速し続ける問題はマクロ経済的な問題だけでなく、個人の指向性の問題も大きと思う。

その指向性とは「キャリアプラン」であり、仕事に対する姿勢である。

書店にいくとスピリチュアル的な本や、目先の効率化(残業しない仕事術とか手帳術とかetc。。。)や本質を見失った自己啓発書(?)がウジャウジャしている。

スピリチュアル的な本や目先の効率化の本を読んでも、読者の求めているものは決して手に入らない。

ちょっと考えるとすぐわかることで、革新的な技術開発、難病に対する新薬の開発、スポーツ選手や音楽家は、高い志と不屈の精神・努力が99%の成功要因である。

そういう観点から見て、スピリチュアル的な本や目先の効率化の書籍を人が求めるのは、やや異常な気がする。

このような書籍に群がる人が多いというこは、今後の社会で高い生産性や創造性を発揮することが難しいことは容易に想像がつく。

日本という国が他国を圧倒するような経済復興は、現段階では考えずらい。

成熟した国(高い人件費、高齢化、人口の減少など抱える)は、各個人がどれだけ高い創造性を生み出すことに熱意と投資そして信念を傾けるかである。

同じ一級建築士でも安藤忠雄になれるか、仕事が無い建築士かの違いは、まず仕事への考え方と信念である。
(安藤忠雄氏の研究や勉強、および事務所のメンバーに要求する勉強は相当に高いものがある)

大きな仕事を達成するには、仕事に取り組む人間の信念と、どれだけ仕事に情熱を傾けて取り組むかにかかっている

と安藤氏も言う。

そして、

若くても本質を見失わない努力を続けた人間は、必ずどこかで一気に才能が開花する。」とも言っている。

逆に

多数に追随すれば、必ず自分を失う

とも警告している。

高度成長期はUSやヨーロッパというお手本があり、安い日本の労働力も手伝い、諸外国を真似て、追いつけ追い越せであった。その時大事なのは効率である。

しかし、今は全く異なる。

資源が無い、人口が少ない、高齢化と言う日本経済を立ち直らせるには時代にマッチした教育と人々の高い志である。

今の教育や企業の姿勢が「jobを素早くこなすこと」ばかりに意識が傾き過ぎである。

高い志の研究や作業に対する社会評価が低すぎることとも問題である。

=HSCI Takanari Hashimoto(URL:http://hsc-i.com/)=

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009年11月 1日 (日)

年内は仕事で缶詰

ブログもしばらくご無沙汰してしまった。

ここ数日、東京は晴天が続いているが、私は休日返上で仕事の状態になっている。

椅子に座って作業するデスクワークが多いので腰に負担が掛かっている。

12月一杯は、クライアント先でのコンサルティングや他の打ち合わせ以外は、オフィスで作業に忙殺されそう。

せっかくいい天気なのに残念である。

=HSCI Takanari Hashimoto(URL:http://hsc-i.com/)=

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年10月 | トップページ | 2009年12月 »