エンジニア的視点から見たミシュランガイドの評価方法の不思議
巷ではミシュラン京都・大阪2010が出るとかで大騒ぎしている。
ミシュラン・ガイドの評価方法については、ある程度公開されているが詳細は不明だ。
公開されている情報から分かる範囲では、ベテランの調査員が複数でマニュアルに基づいて厳格に調査していると言う。
しかし、それほど厳格でも体系化されているようにも思えない。
誰もが一番気になるのは評価の妥当性だろう。ミシュラン・ガイドの評価方法について調べてみると、これはレストランや料亭の味やサービスについての1つの「アセスメント」「評定」と判断できる。
製造業や医療分野などでも、ミシュラン・ガイドとは性格が異なるが製品の品質管理や開発・生産体制、サービスの質を評価(アセスメント)する国際標準が存在する。
これらは顧客に安心して製品やサービスを受けられることを示すための認証あるいは評定である。同時に企業に対しての製品やサービスの改善活動の情報にもなっている。
製造業や医療分野や食品などのアセスメントの認証あるいは評定の結果は、ミシュラン・ガイドとは異なる評価方式であるが詳細な調査報告と格付けがされる。
ミシュラン・ガイドとの単純な比較はもちろんナンセンスだが、顧客に安心して製品やサービスを受けられる目的という点から見れば、製造業、食品、医療分野などの認証あるいは評定も全く目的は同じだ。
そういう視点からみると、個人的な感想だがあまりにもミシュラン・ガイドの判定方法は、きわめて雑な印象を受ける。
そもそも世間は本当に料理やサービスを評価する人間が味覚や感覚が確かなのか納得できるのだろうか?
製造業や医療分野などの認証あるいは評定員はその分野で10年以上のキャリアと評定のための資格の実績を数年以上積む。
そして、評定のための訓練を積み、何度も試験を受けて合格しなければならない。
1つの企業や病院あるいは店を評価する方法が極めて厳格に体系化されており、認証や評定は予備審査を含めると、1つの企業や病院あるいは店を評価するだけでも3か月はかかるのが常識だ。
規模の大小にあまり関係ない。小さい会社や病院でも原則同じである。
繰り返しになるが、ミシュラン・ガイドの評価方法と製造業、食品、医療分野などの認証あるいは評定は単純に比較できない。
評定や認証に目的や厳密さが異なるのは承知の上での比較である。
それでも1つの店を評価するのなら6人から10人の調査委員が、最低でも10日間から1か月かけて通い詰めて評価しなければ本当にその店の料理やサービスを評価できるわけがないと思う。
しかし、ミシュランの現在の方法は、現場(店)には1回か2回来るだけらしい。
ミシュラン社からすればガイドを参考にするかしないかはユーザーの自由であるという理屈もあるだろう。
もともとは、良くある雑誌のグルメ評価のような感覚からスタートしたのかも知れない(タイヤが売れるようにレストランまでドライブしてもらうため)。
しかし店側にすれば、勝手に短時間の内に覆面調査されて、全てを見抜いたように書かれるのは困るはずだ。
過去にミシュランの評価で自殺したシェフやオーナーがいるのだから、他人の店や人を評価するとはそれだけ社会的責任を負うものだということを考えることが大切だろう。
そして、利用する私たちがも少し冷静になることが必要だ。
あまりにも世間が大騒ぎしすぎだろう。
ミシュランとて本業はタイヤメーカーなのだから、必要以上にガイドが独り歩きして騒がれるのも困ることだろう。
=HSCI Takanari Hashimoto(URL:http://hsc-i.com/)=
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