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2009年1月 9日 (金)

企業格差が加速する時代~企業は攻めの改革を

何で読んだか、あるいは聞いたか記憶が定かではないが、2009年の経済予測では、この大不況で中小企業を中心に30%近くの企業が倒産するという恐ろしい予測がある。

大手企業も工業の停止や派遣社員、契約社員の契約打ち切りなどで急場をしのいでいるが、しばらく続くと予想されるこの不況は企業の体力をかなり消耗するはずだ。

2008年の終盤から吹き荒れたサブプライム問題に端を発するこの世界的不況により、「企業の貧富の格差」が顕著になっている実感がある。

小泉政権の規制緩和などの政策の影響で「国民の貧富の格差の固定化」が現在問題になっている。

これまでの日本は高い相続税や累進の所得税で貧富の格差が固定化しないようにしていた。

ところが近年は国民の所得格差が広がり、貧富が2極化の傾向を示している。低所得層が増えているだけでも問題だが、さらに問題になっているのは、一度低所得層になると浮上できないという貧富の固定化の問題である。

特に注意が必要なのは教育の問題だ。高所得者は子供に十分な教育を受けさせることが可能だが、低所得者層は、十分な教育を子供に提供できず進学や就職で不利になるというのだ。

小泉政権時代の政策が本当にどこまで「国民の貧富の格差の固定化」に対して影響を与えたかは分からない。単純には風評を信じることは危険だが、恐ろしい状況だ。

現状では政府から何の根本的な対策が打ち出されてもいないので、格差は確実に広がり進行している。

このような中、今回の大不況で今度は「企業の貧富の格差」が顕著になっている実感があるのだ。

多くの企業は景気回復まで耐え忍ぶ体制を取らざるおえないだろうが、その中でも中小企業はただ耐え忍ぶしかない状況に置かれている。大手企業からの仕事の発注が回復しない限り厳しい状況が続くからだ。

一方、大手企業の中でも比較的体力がある企業は、この不況を機に大きな改革に乗り出している。もちろん、このような企業でも今回の大不況は大変な経営的影響があるし、今後の生き残りをかけて必死だ。

しかし、この状況を「攻めの姿勢で改革」に取り組んだ企業とそうでない企業では決定的な差が生じてしまう。大手企業も今回の不況の影響が深刻なだけに必至に改革に取り組むからだ。技術革新作業効率の改善にかなり積極的だ。

改革は守りの姿勢で実施するのではなく、攻めの姿勢で実施して本当の結果が得られることが多い。

私への問い合わせにはこのような改革に取り組む企業からの相談が多いが、色々相談を受けて指導していると、明らかに企業の格差が2極化していくことが顕著な印象なのだ。

日本で起きた過去のバブル崩壊で多くの銀行が整理されたように、企業も富める企業とそうでない企業が2極化傾向するだろう。グローバルな時代では2極化の傾向は世界的に見ても良く見られる。

以前の日本では極端な2極化はなかった。特に日本のお家芸である製造業は、大手製造メーカーを頂点にいくつもの下請け企業の階層からなる裾野が広いぴラピッド構造が形成されていた。

ところが、この階層が整理され企業改革に取り組めて力のある企業だけが生き残れる様相を呈している。このような不況の中でも着々と今後のビジネスを有利に進める改革活動に取り組める企業とそうでない企業では、取引先相手からの評価も大きく異なることになる。

しばらく続くと予想される不景気だけに、このような2極化が加速することも考えられる。企業の置かれている状況や業務内容にも大きく依存するが、厳しい経営状況であっても是非「攻めの姿勢」である企業改革に取り組んでほしい。

大手企業は、技術革新に加え、仕事を発注するコスト削減と業務のスピード化のために大幅に外注化のプロセスや仕組み見直してをいる。中間マージンの削除によるコスト削減と業務のスピード化である。

具体的には、日本の高度成長期時代に形成された、21世紀では多すぎる外注先と多すぎる階層を整理し始めているのだ。日本企業の役職がやたら多く意思決定に時間がかるということで、職務階層が整理されているのと同じだ。

大企業は業務を依頼する委託先を海外の企業と日本企業を比較し、優劣を判断している。企業の改革は何か1つのテーマに取り組めばいいと言うのもではなく、複合的な取り組みが必要となる。

発注側が委託先企業に求めるのは、

  • 「企業の持つ技術力」
  • 「生産性と品質の水準」
  • 「企業の体系的な業務プロセスや仕組み」
  • 「継続して技術革新や改革に取り組む活動姿勢」

を評価の軸に入れている。特にスピードとコストは重要である。日本企業はこれまで、スピードとコストへの対応は、深夜までの残業と人海戦術に頼ってきたが、もはや技術革新を含む業務改革抜きでは避けられない。

また、改革も単に経営的な視点や技術的な視点に偏らないことが大切だ。バランスのとれた改革が求められる。過度のアウトソーシングと人員のリストラは、空洞化を生み出し、中長期的に見て企業の体力を相当奪うことになる。

=HSCI Takanari Hashimoto(URL:http://hsc-i.com/)=

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