« 国際標準規格に沿った「要件管理」と「ピアレビュー」の方法とは? | トップページ | 日産自動車がマーチ生産をタイへ全量移管の衝撃~大手製造メーカーの日本流出へ »

2009年1月16日 (金)

製造業の成功鉄則1~「いい製品が売れるのではなく、欲しいと思われる製品が売れる」

企業を訪問しコンサルティングやアドバイスをする仕事をしていると、技術は良いものを持っているし、真面目な組織の方が多い。

ただ、残念なことに「技術をビジネスにする時の大切なこと」に気がついていない場合が多い。

この場合は、優れた開発技法や開発環境・装置の採用や導入うんぬんではないので、ビジネスに対する意識を少し変えないと利益が安定しない。

製造業で成功するには、技術は重要であり、高品質の製品も必要、これは当然。しかし、これだけでは、製造業はビジネスにはならない。

技術者は皆まじめだから、高品質や生産性の向上に意識が行き過ぎてしまう。品質はイマイチだけど売れまくっている製品は色々ある。お客さんから見た品質と開発者・生産者の品質の意識がずれているケースが多い。

つまり、「いい製品が売れるのではなく、欲しいと思われる製品が売れる」ということを常に意識する必要がある。これはサポートなどのサービスを売る場合も同じ。

売れる製品がいい製品」と後から評価されるのであって、良く出来ていても売れない場合は良い製品とは決して言われることがない。
世間や評論家の評価なんてそんなもんだ。

実は昔からスポーツでも同じことが言われている。

ゴルフでもテニスでも「試合は上手い奴が勝つのではなく、強い奴が勝つ」ということだ。そして、勝つ奴が優れたプレイヤーとして評価されるのだ。

プロは試合に勝つことに徹底的にこだわる必要がある。

スポーツでも将棋でも囲碁でも、プロとは勝てて初めてプロの価値があり、勝てないプロはプロ扱いされない。

テニスやゴルフでは、単に1つ1つのプレーが驚くほど上手くなっても、それではトッププロになれない。

トッププロとそうでないプロはこの点の気づきが根本的に異なると言われる。ビジネスも同じである。

一例では昔の天才テニスプレーヤーのジョン・マッケンローがそうだ。

彼は個性溢れるプレースタイルで、数々のビッグタイトルを得ている。当時のマッケンローの人気は高く、一般的プレイヤーがこぞって彼のマネをしていたが、教科書的フォームからかけ離れているフォームであったため、彼の独特のフォームはマネをしてはいけないと良く言われていた。

あるTVのインタビューで彼はこう答えている。

「俺のフォームに色々な評価があるのは知っているよ。
正直、俺のフォームは変則的だし、テニスの技術は他のプレーヤーとさほど変わらないと思っている。
ところで、フォームが綺麗とか正しいとか、それが勝つことに何か関係あるの?
テニスは上手い奴が勝つのではなく、強い奴が勝つんだぜ。」

過激なプレースタイルであるマッケンローの「サーブアンドボレー」も彼の勝ちにこだわった結果のプレースタイルだ。

野球のピッチャーも、「一番勝てる投手がエース」と呼ばれる。
球のスピードが一番早いとか、一番コントロールがいいとか、一番変化球の球種が多いとかはエースの条件では無い。

学校のテストや資格試験もこれまた同じ。テストや資格試験は、知識が沢山ある人や長く勉強した人が良い点数を取るのではない、テストで点数を取れる人が合格するのである。

この成功鉄則の製造業の例に該当するのはソニーだ。

ソニーも売れる製品とそうでない製品に対して独特の考え方がある。
ソニー製品は他のブランドよりもやや高価なイメージがあり、事実以前は値引きが無いソニー製品は他のブランドの同じ製品よりもかなり割高だった。
それでも、ソニー製品は売れていた。なぜ?

ソニーの商品開発の基本は、

「『良い製品だけど高い』と思われたら売れない、だから、『高いけど欲しい』と思われる製品でないと作る価値がない」

である。
デザインだって売れる要素だ、だからビジネスでは「デザインは重要な製品の機能」となる

学問的にデザインは製品の機能であるとか無いとかそう言う議論は、売上を上げることを目的としているビジネスではどうでも良い。デザインの良し悪しが売上に大きく関わる以上機能として考えて差し支えない。

だから売れることに、どこまで徹底的にこだわって開発したが勝負の分かれ目である。
そうした発想で開発される製品は強気の値段を付けても大丈夫と。

性能が良くて安ければ売れるのではない。戦後ではないのだから、安くても性能が良い製品は巷に溢れている。顧客のニーズに丁寧に応えれば儲かるビジネスになるわけではない。

優れた製品を作るのではなくて、売れる製品を作ること。ヒット商品は狙って開発しているのであり、偶発的なヒットは少ない。

長い列に並んでも食べたいラーメン屋と、並ばなくても直ぐに食べれるラーメン屋の売上の差は歴然である。

これが今日の製造業の成功鉄則1である。
徹底的にビジネスにこだわり、売れることに徹することで、初めて技術も活きてくる

これを自分のビジネスにあてはめて考えると、いろいろ課題が見えてくるはず。

他にも重要な鉄則がありそこを押さえないとビジネスはうまくいかない。これは大企業も中小企業も同じ。他の成功法則はまた今度にしたい。

=HSCI Takanari Hashimoto(URL:http://hsc-i.com/)=

|

« 国際標準規格に沿った「要件管理」と「ピアレビュー」の方法とは? | トップページ | 日産自動車がマーチ生産をタイへ全量移管の衝撃~大手製造メーカーの日本流出へ »

「パソコン・インターネット」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/112989/43757475

この記事へのトラックバック一覧です: 製造業の成功鉄則1~「いい製品が売れるのではなく、欲しいと思われる製品が売れる」:

« 国際標準規格に沿った「要件管理」と「ピアレビュー」の方法とは? | トップページ | 日産自動車がマーチ生産をタイへ全量移管の衝撃~大手製造メーカーの日本流出へ »