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2009年1月15日 (木)

国際標準規格に沿った「要件管理」と「ピアレビュー」の方法とは?

今回のブログのタイトルが「国際標準規格に沿った「要件管理」と「ピアレビュー」の方法とは?」である。

このタイトルの意味から、

「国内の企業で実施されている大部分の「要件管理」と「ピアレビュー」の方法が、国際標準規格(CMMI、AutomotiveSPICE、ISO15504など)で要求されている方法に沿っていないのか?」

という質問がありそうである。

回答は、残念ながら「そうである」と回答せざる負えない。

CMMI、AutomotiveSPICE、ISO15504などの正式な資格を所有する人間から、活動に対して指導を受けていれば問題ないが、そうでない場合は確認が必要だ。

CMMI、AutomotiveSPICE、ISO15504では、「要件」と言った場合に、この業界の世間一般で使われている意味よりも厳密な定義がされている。

要件とは顧客要件やシステム要件だけでは無い。この要件の定義からして、意識がずれてしまうと、活動全体に課題や問題が出てくる。

プロジェクトで作成する成果物間の双方向性追跡可能性やCCBなども的確に理解し、構成管理活動との兼ね合いや整合性も考慮して要件管理活動を実施しないとNGだ。

レビュー活動に対してもCMMIなどでは、開発ライフサイクル組織プロセス資産の一部である組織標準プロセスプロセス実績モデルなどとの関係が重要とされる。

日本で実施されている多くのレビュー技法のレクチャーは、大抵「フェイガンイン・スぺクション技法」やインスぺクションに関連するドキュメントのテンプレートの紹介、書き方に終始しているようだが、CMMI、AutomotiveSPICE、ISO15504で要求されているレビューの活動はこれだけでは不足でNGとなる。

詳しくはCMMI、AutomotiveSPICE、ISO15504の活動を調べてもらえれば明確に分かるのでここでは割愛するが、重要なことは各企業やプロジェクトの良いやり方を活かしながらも、CMMI、AutomotiveSPICE、ISO15504などの国際標準のルールに合致しているかを意識して活動しないと、これからの時代は評価されないということだ。

従来は、要件管理、プロジェクト管理、レビュー、テストなど自社のやり方でも良かったが、これからは国際標準のルールに沿っていないやり方は、活動が十分と認められないのだ。

ただし、細かな技法までは限定されていないから、国際標準で要求され得ている活動をしっかり調べて取り組むことが大切だ。その上で自分たちに適した方法を利用すれば良い。活動が少し足りないだけで、全てが間違っている訳ではない。

例えばレビュー技法で言えば、「フェイガン・インスペクション技法」は、1970代に利用され始めた方法なので、分散開発オフショア全盛の今の時代に少し工夫をしないと適用が大変だ。

レビュー技法としては完成されているのだが、1970代当時の開発規模やビジネス状況とは大きくことなり、現代においてフェイガン・インスペクション技法をきっちり適用するのは時間的に難しい。

  • HightImpactインスペクション
  • 多段階インスペクション
  • 堆積インスペクション
  • 体系的なパスアラウンド・インスペクション
  • N重インスペクション

などフェイガン・インスペクション技法を土台にした現代の忙しい開発スタイルに合わせたレビュー技法も編み出されているから、自分たちの適した技法のレビューをうまく取り入れると良いだろう。

また、「フェイガン・インスペクション技法」のような机上レビューでは見つけづらいパフォーマンスなどの非機能的なレビューやコードレビューなどは、SPINなどによるシミュレーションや静的解析・動的解析などのツールによる評価でも、妥当性と客観的に有効である場合にはレビューの技法として認められる。

レビューやインスペクションとして認められる技法には、机上の成果物チェックや会議だけではなく、科学的でインスペクションとして効果があるものならば良いのだ。

逆に言えば、マルチタスクで動くプログラムのコードの場合は、コードをどんなに眺めていても、実時間制約のデッドラインを満たせるか?、排他制御によるオーバーヘッドは問題ないか?優先度逆転は無いか?などのデリケートな問題は発見しづらい。

だから、このような課題に対してのレビューやインスペクションを、「フェイガン・インスペクション技法」のような厳格なインスペクション技法で机上レビューで実施していると言っても、工学的な観点から説得力がなく不適切な判断を受ける。

これは、ソフトウエア工学品質工学などの成果を(CMMIやAutomotiveSPICEでは検証の中で扱われる)を踏まえて、国際標準で求められる活動が盛り込まれているからだ。

ただし、SPINなどによるシミュレーションや静的解析・動的解析などのツールによる評価はインスペクションの技法の1つとして認められるが、テストの代わりにはならないので念のため。

=HSCI Takanari Hashimoto(URL:http://hsc-i.com/)=

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