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2009年1月14日 (水)

これからを生き残る戦略~下請けビジネスモデルからの脱却

今日の提案は、小企業は請負型ビジネスから自らがパイオニアになり商品やサービスの販売を直接行うビジネスモデルに移行すべきだと言う点である。

私は製造業の技術や開発方法論および業務改革を指導するコンサルタントであるが、単に知識や技術を指導するだけではない。

企業にとって経営が目的であり、知識やノウハウは道具にすぎない。だから、誤ったビジネスにならないように、経営についての世界的な予測やノウハウも指導する。

今後のビジネス動向と手段がミスマッチにならないことに多くの企業が意識を払っていない。アドバイスとしてこのようなことも提案することは重要なのだ。

さて、昨今の大不況で世界中の企業が総崩れ状態になっている。

日本では私の古巣であるソニーやキャノンおよびトヨタなどの大手が軒並み、売り上げや利益の下方修正につぐ下方修正をしている。

しかし、大企業は経営は相当大変な状態であるが、なんとこの不景気を持ちこたえることが可能である。国も大企業の支援に対しては色々なことを検討してくれる。

大企業が潰れたら国家としても窮地だからだ。USのBig3(今はデトロイト3と言うらいしいが)の例を見ても明らかだ。しかし、国は中小企業には事実上面倒は見てくれない。

大企業は苦しくても色々な対策や経営戦略を考えて、自らが色々なアクションを起こせる強みも、ビジネスモデルもある。

売り上げや利益を持ち直すための行動が可能な資金も人材もある。銀行からの融資を受けることも大企業なら可能だ。

一方、中小企業のソフトウエアハウスや製造業者は、仕事の中心が大手企業からの下請けの受託となっている事が圧倒的だ。

だから、大手からの発注が回復しない限り、自分たちの経営を安定化するすべが無いという深刻な課題が存在する。

中小企業は、大手から発注に極度に依存するビジネスモデルなので、この様な不況になると途端に苦しい状況になる。

事実上、発注元の景気が回復して、仕事の依頼が回復しくれるのを「座して待つ」のみの状態に陥りやすいということである。

自分から窮地を脱出するアクションがきわめて限定されているのだ。ビジネス的に見て、あり得ない低価格化と異常なまでの納期のスピードでアピールするしかない。しかし、これにも限界がある。

今回の不況は長引くという予測が多い。「座して待つ」のは非常にリスクが高い。とたんに資金繰りに窮するだろう。

NASAに提供する技術や最先端の技術を持っていても、下請けのビジネスモデルだと毎月の資金繰りにも苦労するのが今の日本の中小企業の現状ではないだろうか。

技術ばかりでは立ち行かない時代である。

さらに、他の国が景気が上向いても長期的に見て日本のGDPは上がらないという点も不利だ。

日本は後40年もすると70歳の人口が一番多くなる。世界から「老人の国」と言われ仕事をする人口が極端に不足するためにGDPが低下していくからだ。

40年も待つことなく、今のままの人口減少が進むと後10年から15年で世界から日本は「老人の国」に一直線と考えられ世界から見放されるだろう。

このような状況で製造業がこれまで築いてきた「裾野広いピラミッド型の企業間構造」が維持できるこは困難だ。

なにせ、労働者の数が激減して行き、大手企業が生き残りのために、下請け企業を淘汰する時代であるからだ。

したがって、中小企業は請負型から自らがパイオニアになり商品やサービスの開発と販売を直接行うビジネスモデルに移行すべきだ。

さもしなければ、大企業が下請け業者をアジアの企業と比較選択するなかで、淘汰されるか生き残るかの中の競争をし続けることになる。

特別な差別化が無いと常に淘汰の恐怖にさらされ、最後は確実に淘汰される側になってしまう。差別化が価格競争では中国、インドなどの海外に絶対に勝てない

グローバルな時代の不景気の特徴、膨れる日本の大借金、止まらぬ少子化など、昔の日本のようなビジネス構造やモデルの維持は困難になりつつある。

それでも、「景気が回復するば」という感覚をお持ちの方は、これまでの日本の好景気の残像が強く残っている経営者の方だろう。

20世紀の高度成長期は、人口も増え、新幹線、東京タワー、高速道路など建設と明るい材料と内需の増加が極めて高い時代であり、「今後の時代の可能性にリバレッジ」をかけれた特殊な期間なのである。

21世紀の様なグローバルな時代に、いったんどこかで不景気が発生すると全世界的な不景気になりやすい時代では、下請け業務100%型のビジネスモデルから何とか脱出しない限り日本での製造業の経営は困難な時代になると自覚したほうが良い。

簡単ではないのは当然である。おいしいビジネスモデルが落ちている訳がないからだ。

それでも、中小企業は請負型から自らがパイオニアになり商品やサービスの開発と販売を直接行うビジネスモデルに移行すべだ。

優れた技術や生産性を誇っていても、下請け型ビジネスモデルでは立ち行かない時代になってしまったとに早く気付かないといけない。

=HSCI Takanari Hashimoto(URL:http://hsc-i.com/)=

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