エンジニアなら経営コンサルタントの技法よりもORやTQMの技法を使おう!!
最近、エンジニアでもプロジェクトマネージメントや問題解決に利用する技法として経営コンサルタントが活用するテクニックに注目されているようである。
書店に行くと、マッキンゼーやボストンコンサルティングの方が著した書籍が数多く売られている。
- ピラミッド構造
- MECE
- ビジネス・スクリーン
などいろいろな技法とケーススタディが紹介されている。
しかし、エンジニアは昔からこれらのテクニックは当然のように実施してきているのだが、最近の方は知らないようで、先輩達が利用して来た素晴らしい技法とノウハウを利用してないで、経営コンサルタントの技法に注目しているのは不思議に見える。
最近はIT全盛だからかもしれないが、製造業では一般の工場の品質改善活動で非常に多彩かつ高度な技法を駆使して来ている。それだからこそ日本のお家芸である品質改善活動が優れているのである。
具体的にはオペレーション・リサーチやTQM(トータルクオリティ・マネージメント)、シックス・シグマなどである。これらは、製造業の品質管理だけでなく、ホワイトカラー層の問題解決アプローチにも当然利用されている。日本では「新QC七つ道具」として有名だ。ちなみに工場で利用される「QC七つ道具」と区別されて体系化されている。
私もそうだが、日本の企業は小集団活動として品質管理活動を定常的に職場で実施していた。
経営戦略コンサルタントの使う技法はオリジナルなものもあるが、大部分はオペレーション・リサーチやTQM(トータルクオリティ・マネージメント)の技法を非常に簡略化してものを経営用に上手く利用している。MECEという用語は品質管理の世界では同値分割やDISJOINTといい、集合論や論理学から来ている。
ただし、原因分析は単に1つの視点で分析することが無理な場合もあるし、そもそも事象を完全に同値分割(経営コンサルタントの人の用語のMECE)できないケースもある。複数の原因などが複雑に絡みあうケースが多いからだ。
だから、強引に同値分割すると弊害もある。管理工学では、特に影響の高い主要な原因を特定するための技法と手順が存在する。
そこで、品質工学では品質表や特性要因図など複数の技法を用いて、体系的な作業の順序が確立されている。科学的かつ体系的に緻密な課題や問題までもあぶり出せ、解決策を特定するまで行う。
そうでもなければ複雑で設計ミスや些細な不具合でも許されないミッションクリティカルな製品など作成できないし、一定の品質や生産性も達成が難しい。もちろん、PDCAサークルをシステマティックに回して、成果を確認する。この際プロセスモデルや品質モデルを作成し、比較検討するなども実施している。
だからこそ、1つ1つが高い精度を要求される部品が何万個も用いて組み上げられる、デリケートなはずの自動車が、少々乱暴な運転しても、オーナーが普段どのようなメンテナンスであろうと全然故障しない日本車は、本当に日本の品質管理の凄さを示している。
エンジニアには自分たちに先輩が過去に色々な工夫を凝らしと実践してきたオペレーション・リサーチやTQMを利用しない手はない。かなり統計的技法や偏微分方程式などの数学的知識を必要とするものもあるが、私達の先輩達はこれらを十分に使いこなしているのである(エンジニアだから)。
書店に行けば多数の書籍があるから参考にしてみるといいだろう。入門レベルから実用レベルまで相当数の書籍がある。CDROM付きでEXCELでツールかされているものもある。
オペレーション・リサーチやTQMは、範囲も広く、奥が深いから、まずは必要と思われる部分から取り入れるといい。過去の事例や職場に導入するノウハウも数多く紹介されているので、学ぶ気があればいつでも学べる。品質表や特性要因図を含め、品質工学の技法はどんな問題にも利用できる。
また、多くの製造行のメーカーで品質管理活動で利用されている技法なので、ありがたいことにインターネットでフリーのツールも公開されている。管理図などの作成に統計的な計算が必要なのでツール化は不可欠だ。
きっと探し求めている技法とケーススタディの宝庫がそこにある。
=HSCI Takanari Hashimoto(URL:http://hsc-i.com/)=
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