書籍「Object Oriented Programming」
今回も引き続き往年の名著や懐かしい書籍を紹介したい。しばらくは前回、前々回同様しばらく書籍を紹介して行きたい。
今回はピーターコードの「Object Oriented Programming」である。この書籍はオブジェクト指向開発方法論の「Courd&Yourdon法」を解説した書籍シリーズの1冊である。
この書籍のシリーズに「Object Oriented Analysis」、「Object Oriented Design」が存在している。こちらの2冊は日本語に翻訳されて出版されていた。
今回紹介する「Object Oriented Programming」は結局翻訳されることがなかった。
内容は単純なプログラミングを解説した本ではなく、分析、設計を効果的に実装するポイントをC++とSmalltalkを用いて解説している。文体も分かりやすい語り口で書かれている。
この当時、オブジェクト指向プログラミングの書籍はC++やSmalltalkおよびObjectiveCなどが存在したが、あくまで言語の文法の解説とプログラミング言語から見たオブジェクト指向の解説になっていた。
つまり、分析、設計を通じて作成したクラス図(関連や多重度など)や状態図およびドメイン(Courd&Yourdon法ではサブジェクトと呼んでいたっけ)をどのように、オブジェクト指向設計の結果を最大限に活かしながら、各言語にマッピングしていくかを紹介した本は貴重だったのである。
逆にオブジェクト指向の分析法だけを扱った書籍も存在したが、設計やプログラミングへのマッピングまで解説されておらず、消化不良になることが多い。
書籍で述べらているアプローチで分析後、どのようにターゲット環境に最適化するのかが解説されていないオブジェクト指向方法論も多数あったように記憶している。
それに、たとえオブジェクト指向プログラム言語であっても、設計結果を単純に実装できない場合もあるからオブジェクト指向開発方法論の中で分析から実装まで通してポイントと著者の主張を説明しているものは珍しかった。
そのような中、オブジェクト指向開発方法論の「Courd&Yourdon法」を解説した書籍としては、「Object Oriented Analysis」、「Object Oriented Design」および「Object Oriented Programming」の3冊をもって完結する。
翻訳されなかった理由は不明だが、約600ページに及ぶ厚さや先に翻訳された「Object Oriented Analysis」、「Object Oriented Design」の売れ行きを考えてのことかもしれない。
そういえば、「Object Oriented Analysis」、「Object Oriented Design」の翻訳された書籍も原書であったAppendixなどは翻訳されず割愛されていたから、厚さが翻訳の障害になったのだろうか?
蛇足だが、本書には3.5インチのフロッピー・ディスク(懐かしい!)が付録で添付されていた。
=HSCI Takanari Hashimoto(URL:http://hsc-i.com/)=
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